コラム『百姓のまなざし』

お墓と百姓

桜が満開だった
 
そんな中、決明子(ケツメイシ)の栽培圃場を耕した
 
ここの地主さんの先代も、この景色を見ながら田んぼ仕事をやっていたのだろうか
 
ここから見える真ん中の桜の下には、地主さんの先祖代々のお墓がある
 
なぜだかわからないが、私にはそのお墓の場所から、先代たちが桜の景色を楽しんでいるように見えるのである
 
そのお墓から伝わってくる
『この場所が好きだったんだ』
という思い
 
私の勝手な想像かもしれないが、、、
 
木を切り出して
大量の石を運び
平らにならした
 
その費やした時間は一体どのくらいになったのだろうか
 
豊かな土の中でお米を作り、家族で食べたその瞬間は、どんな気持ちだったのだろうか
 
涙が出るほど幸せだったのだろうか
それとも、貧しく苦しかったのだろうか
 
どちらにせよ
生きて行くには米を作らないといけなかった
 
ここの先代たちは豊かだったのか、厳しく苦しかったのかは私にはわからない
 
でも、膨大な時間を費やして、この美しい風景を作ったことは紛れもない事実なのだ